日体大弓道部の射形について
高校生から弓道を続けてきた人にとって、大学の弓道部で一番気になるところは、射形かもしれません。そこで、今回は、日体大弓道部の射形について紹介しましょう。
弓道を続けてきたみなさんの射形は、何ですか。おそらく、正面打起しの人が大半だと思います。しかし、数は少ないかもしれませんが、斜面打起しの人もいるでしょう。
弓道がはじめての人は、正面?、斜面?、何それ? といった感じかもしれませんが、弓を引くときは、打起しといって、両手で弓を一度上にあげて、押し開きながら左右に引き分けていきます。
このとき、からだの前に弓をかまえて、両腕を円を描くように真上にあげて左右に均等に引き分けていく方法が正面打起しです。このため、矢の位置は水平に上下します。
これに対し、弓を的の方向に斜めに構え、矢の先が少し下がった状態で少し押し開き、額の高さまで打ち起こして引き分けていく方法が斜面打起しです。ただし、流派によって少し違いがあります。
弓を引いたことがない人は、言葉で説明されてもよくわからないかもしれませんが、ここでは弓を引く方法には、正面、斜面の二つの方法があるんだということだけを理解してください。
もともと「弓術」と呼ばれていた時代、武士たちは斜面打起しで弓を引いていましたが、明治以降になると正面打起しが次第に普及し、現在は、正面打起しが主流になっています。このため、高校生から弓道をはじめた人のほとんどは、正面打起しを習い、稽古を重ねてきたと思います。
大学の弓道部も、古くからの流派を受け継ぐ斜面の筑波大学や早稲田大学、法政大学など一部の大学を除けば、正面打起しに統一しています。しかし、高校生のときに斜面で引いてきた人は、大学の弓道部に入部しようと思ったら、今度は正面に射形をかえなければなりません。あるいは、正面で引いてきた人は、斜面にかえなければならないこともあるでしょう。当然、しばらくは的中も出ず、悩む人も出てくると思います。せっかく三年間、腕を磨いてきたのに、それはもったいないと思いませんか。
そこで本学の弓道部では、あえて射形を統一せず、みなさんが稽古を重ねてきた射形をさらに伸ばすことを育成方針に掲げています。もちろん、射形が統一しないと団体戦では不都合なことも生じてきます。見た目が揃わないので統一感がないと指摘されたこともあります。また、射形が異なることから、うまく流れがつかめないということもあるかもしれません。しかし、それでも良いのです。それよりも、3年間頑張って身につけてきた技倆をそのまま活かして、さらに成長することを本学では優先します。
もちろん、おかしな癖は直してもらいます。団体戦での流れについては、いつも一緒に稽古を重ね、場合によっては立ち順(弓を引く順番)を工夫すればなんとでもなります。それよりも大切なことは、自分とは異なる世界を大切にしながら、同じ目標に向かって頑張る姿勢です。また、射形が異なる部員がいることで、それぞれの良し悪しも研究することもできます。
もちろん、初心者のかたは、斜面でも、正面でも、どちらでも自分が好きな射形からはじめてください。また、経験者でも射形をかえたい人は、入部後に自由にかえられます。そのため、本学の弓道部は、正面、斜面それぞれに精通したコーチを迎えています。コーチ陣の多くは、本学のスポーツ文化学部武道教育学科弓道専攻の先生でもあるので、どちらからはじめても上達します。
日体大弓道部は、射形はバラバラでも、心はひとつ。これが強みであり特色です。さあ、弓道を続けようと思ったきみ。おもしろそうだと感じたきみ。弓道部に入部して腕を磨いてみませんか。
入部や質問は、日本体育大学弓道部のTwitterにある質問箱でも受け付けています。ぜひ、連絡をください。